つむじ売りの女
私には「ボウズ」と呼んでるリボーンドールづくりのパートナーがいる。ボウズは、植毛用のモデルに使っている頭である。
リボーンドールの植毛を始める前に必ず先にボウズの頭に植毛計画を描き込み、数百本試し刺しをする。そして「つむじフェチ」の私は、ボウズのつむじの部分だけサクサクっと仕上げてしまうことがある。何度も植毛計画を描き込まれ、植毛針を何万回と刺されたボウズは、残念ながらインスタ映えする容姿ではないため、インスタには投稿できない。
次の植毛の前にボウズの頭から植毛された髪を抜き取るのだが、「ああ、つむじを抜くのもったいないな~。つむじを欲しいって言ってくれる人いないかな~」なんて思ってしまう。需要のないマッチを売った「マッチ売りの少女」の如く、ワタクシ、需要のないつむじを売る「つむじ売りの女」のような心境になるのでございます。
「ちょいとそちらのお父さん、話だけでも聞いてって。お土産につむじ、どうですか?」
ちなみに、この子がボウズ。私の大切な頭っ子のパートナー。